ぴゅ〜・
冷たい風が吹き抜けます。

ぴゅ〜〜〜・
コポの体にあたります。

コポよいそげ! いそげよ 母のもと

いつしか雪も降り始め、コポの顔にあたります。

雪よおいらの邪魔するな。早くお母さんのもとに行きたいんだ!

風よ!おいらを運んでおくれ。病気で寝ている母のところへ

待ってておくれお母さん。今薬を持っていくから。


コポは走りました。コポポン山のてっぺんから一目散にポポコン山の母のもとへと------



どこか遠くで ”ぽ〜〜ん” はら鼓の音


「お母さ〜〜〜ん」
コポは流れてくる涙をそのままに、走った走った・・・・・・・・・・・


入り口まで来た時、中にいた妹が飛び出してきた!
「わ〜〜ん。お兄ちゃん お母さんが、お母さんが・・・」
コポはあわてて母の所へ!

「お母さん。ほら薬だよ。今食べさせてあげるから、さあ お母さん食べて、
お母さんどうして食べないんだ。おいらせっかく採ってきたのに・・・・・・
さあ 食べてよ!お母さん・・・」
コポの声もむなしく響くだけでした。
お母さんは はるか遠く”タヌキ天国”へと旅立って行ったのでした。
「お母さ〜〜〜〜ん!」
コポは思い切り大きな声で叫びました。
「お兄ちゃん。お母さん最後までお兄ちゃんのこと言ってたよ。{もういいよ}って。」
「そして、最後にね、あるたけの力で腹鼓をならしたよ。お兄ちゃんに届けって。」

コポは聞きました。コポポン山から帰る途中、それはそれは見事なはら鼓の音を・・・・・

「お兄ちゃん。」弟や妹が寄って来ました。コポは悲しみをこらえ、兄弟を集めて言いました。
「さあ お母さんを送っていこう。」
コポたちは 枯れ木で作った格子の上に、お母さんタヌキを乗せ、ポポコン山のタヌキのお墓へと
運んでいったのでした。
「さあ お別れだ。お前たち 一番いい音を出せよ。」
コポたちは一斉にはら鼓を打ち鳴らしました。
ポン、ぽ〜ん、ぽこぽ〜ん!
コポたちの打ったはら鼓が、冬の訪れたポポコン山一面にこだましました。

続く