ぽんぽこ島物語 
その3 コポのおはなし

もうすぐ寒い冬が来るというある朝のことです。
ポポコン山に住むコポは、いつものように 隣のコポポン山へ薬草を取りに出かけました。
ときおり、冷たい風がピューッとポコの体にあたってきますが、ただ黙って山に向かいます。

コポには弟や妹がいます。でもまだ狸暦1歳にもなっていません。
お父さんは、お母さんに食べさせる薬草を取りに出かけたままいまだに帰って来ません。

そう お母さんは今重い病気にかかっていて内で寝ているのです。
コポは来年、いよいよ3歳になり一人前のタヌキとなります。
実のところ、お母さんは本当の親ではないのです。ポコが生まれたばかりの時、
このポンポコ島に異変がおきて、遠くポコンポ山から一緒に逃げてきたと聞いていました。
その恩を忘れず、ポコはお父さんのかわりに薬草を取りに出かけているのでした。

いつものようにコポポン山のてっぺん近くで薬草を採っていると、そこに一人いいえイッピキの
年老いたたぬきが現れて言いました。「お前はポコか?」
「いいや おらはポコじゃねえ、おらはコポだ。」
すると そのおじいさんは「そうか ポコじゃないのか 違っておった・・そうか・・」なにやらぶつぶついいながら
行ってしまいました。
コポは{おかしなじいさんだ}と思いながら薬草を採って帰りかけました。と その時です!
どこからとなくたくさんの石つぶてがコポめがけて飛んで来ました。
コポは飛んでくる石をヒョイヒョイとかわし、その先を見ました。すると!なんと先ほどのおじいさんが石をなげて
いるではありませんか。
「おじいさん やめてくれ!何するんだ!おらはこの薬草をお母さんのところに届けなくてはならないんだ!」
「たのむでやめてくれ!」
コポは必死でおじいさんに言いました。するとそのおじいさんは、
石を投げるのをやめ、コポのところにやってきました。

「コポすまん、ちょこっと試させて貰った。やはりお前は誰かに戦のしかたを習ったな。」
「お父さんから教わったんだ。」
「そうか 父親か。コポよ、お前の生まれた時のことを誰かにきいたことがあるか?」
「うん 少しだけ・・・・・」
「お前には 兄さんがおるのをしっとるか?」
「いいや 知らない。おいらに 兄さんがおるのけ?」
「そうじゃ。お前が生まれた時、狐族との戦いで生き別れになった兄がおる。」
「まもなく程ほどにお前の所に現れるはずじゃ。」
「じいさまは どうしてそんな事しっとるのけ?」
「そのことは また後で話す。兄弟がそろった時、二人してもう一度わしのところに来るのじゃ。」
「それより 急いで帰れ! お前を育ててくれた母親のもとへ!さあ 早く!」

おじいさんのその言葉を聞き、コポは急に不安になり、でおじいさんにあいさつもそこそこであわてて山を降り、
草原のなかを一目散にポポコン山のお母さんのもとへと走り帰りました。


続く