みゅーみゅー にゃーにゃー                 
志穂ちゃんが 学校から 帰ってきました。
おうちの車庫のそばまでくると、「みゅーみゅー。」
「にゃーにゃー。」…鳴き声が聞こえてきます。
志穂ちゃんは足音をしのばせ、そ〜っと
車庫のなかへ入っていきました。
どうやら タイヤのおいてあるところから
きこえてきます。志穂ちゃんは そ〜っとのぞきました。

そこには 4匹の生まれたばかりの猫が
お母さん猫のそばで鳴いているのです。
でも、お母さん猫はぜんぜん動きません。
「ママー、ママー。」 
志穂ちゃんは 急いでおうちの中へかけこみました。
「志穂ちゃん お帰り。どうしたの?そんなにあわてて?」
「ママー、子猫がね おうちの車庫で生まれたよ!」
「4匹も生まれたよ。ねえママー 子猫飼っていい?…・・」
ダメよ 4匹も飼えないわ。」
「じゃあ つぐみちゃんや、さおりちゃんにも 
もらってって言うから!」
「ね!ママー、おねがい!」
 志穂ちゃんは必死でママにたのみました。
志穂ちゃんの熱心さに負けて、ママもとうとう子猫を飼うことにしました。
「ねえ、志穂ちゃん 約束よ ちゃんと世話をするのよ。」
「は〜い。」志穂ちゃんはニコニコ顔で返事をしました。 


「グスン うえ〜ん。 ママー……」
泣きながら志穂ちゃんがおうちに入いってきました。
「どうしたの?志穂ちゃん?」
さっきはとってもニコニコしていたのに、
急に泣いて戻ってきた志穂ちゃんを見て、
驚いて尋ねました。
「ママー 猫のおかあさんが死んじゃったみたい…。」
「うえ〜ん。赤ちゃんかわいそ〜」 
志穂ちゃんは泣きながらこたえました。
ママは志穂ちゃんといっしょに車庫まで行きました。
タイヤの中に 4匹の子猫がお母さん猫のそばで鳴いています。
よくみると、母猫はもう息をしていません。
「志穂ちゃんかわいそうだけどお母さんねこは、天国にいってしまったみたい。」
「お庭にお墓をつくってあげましょうね。」
志穂ちゃんとママは庭にお母さん猫を
埋めてあげました。それから 志穂ちゃんは
お花をたててあげました。


つぎの日、さおりちゃんとつぐみちゃんが、志穂ちゃんのおうちにやってきました。
「子猫しんじゃった。」 
「わたしの子猫しんじゃった。」
 二人とも悲しそうに言いました。 
手のなかにはハンカチでつつんだ子猫がいました。
三人さんにんはとても悲しかったけれど、
お庭のお母さん猫の横に埋めてあげました。

「わたし、これから病院にいってくる。」
志穂ちゃんの手の中にはよわよわしい二匹の子猫こがいます。
ママといっしょに動物病院へいきました。
どようびで病院はお休みだったけれど、先生は子猫を診てくれました。
「水分が不足していて、それに体力がぜんぜんありませんね。」
「先生なんとか子猫を助けてあげて!」
志穂ちゃんは必死でたのみました。
「点滴注射をしてあげましょう。」
先生はそう言って点滴をしてくれました。
注射がきいたのか二匹の子猫は「みゅーみゅー。」「にゃーにゃー。」と
鳴き始めました。志穂ちゃんは先生にお礼を言っておうちに帰えりました。

日曜日の朝、志穂ちゃんはベッドから跳ね起きました。
すぐ子猫のそばに行きました。が、
「………・」
こみあげてくるこの悲しさはなんでしょう。
あんなに必死になって面倒をみてきた二匹の子猫は、とうとう
天国へといってしまったのでした。
悲しくて、つらくて、
志穂ちゃんは ベッドにうつぶせになってわんわん泣きました。
「志穂ちゃん、あなたは良く頑張ったわ。きっとあの猫の親子も
あなたには感謝していると思うわよ。」
「さあ、いつまでも泣いていないで、子猫ちゃんをお母さんの
傍につれていってあげてね。」
ママは志穂ちゃんにやさしく語りかけました。

志穂ちゃんはお庭の隅のお母さん猫の傍に埋てあげました。
そうして その上うえにお花をそなえてあげました。
お花は五になってしまいました。

その夜、志穂ちゃんは夢を見ました。
広いお花畑に猫の親子が遊んでいる夢です。
志穂ちゃんが声をかけると、子猫たちは
お母さん猫のまわりを グルグルまわって
とっても楽しそうです。
子猫たちは、お母さん猫といっしょになれて
とてもよかったみたいです。
志穂ちゃんもとても嬉しい気持もちになりました。
月曜日の朝、志穂ちゃんは夕べの夢のことをママに話なしました。
「よかったね志穂ちゃん。あの猫の親子はいつまでもいつまでも
お花畑で仲良く暮すと思うわよ。」


「さあ いってらっしゃい。」
「ママー いってきま〜す。」
志穂ちゃんは元気きに学校へ出かけました。
お庭のすみの五つのお花も風にふかれ
そよそよとゆれています。
まるで志穂ちゃんを送り出だすように…・・

                    おしまい


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