ポンポコ島物語
その 6 出会いそして その4
それは 激しい戦いでした。
でも いかんせんあまりにも急なことでしたので、タヌキたちは戦いに敗れてしまいました。
統領とその妻はとらわれの身となって地下の牢に閉じ込められ、
その他の者たちはキツネたちの奴隷としてこき使われました。
ポコンポ山はもはや完全にキツネ族の山となってしまいました。キツネたちはさらに
自分たちの住処を増やすべくこのポンポコ島をのっとるべき手はずをしていましたが、
タヌキ族の風水師であるポポンが思い切って、ポコンポ山とコポンポ山の間に深い溝を
造ってしまったので、島全体は救われました。
「あなた・・・これからどうなるのでしょう?」
「うむ こうしてとらわれとなった今どうする事も出来ぬ。あとは ポコたちに託すのみじゃ。」
「でも 皆が奴隷となって働いているのを見ると、とてもつらくて・・・いっそのこと私たちを
殺してくれればよかったのに・・・」
「そこは キツネどものずるがしこいところじゃ。わしらを殺せば、絶対に他の者たちは
服従をしないだろう。わしらを生かせておく事によって、皆をうまく使いこなせるわけじゃ。」
「お前にも苦労をかけるの。わしの妻にさえならなかったら、お前はあのポンポコ山で楽しく
暮らせただろうに・・・」
「何を言うのあなた。私は好きであなたと一緒になったんです。共に苦労することなんか
何でもありません。ただ・・・別れてしまったポコとコポのことが気がかりで、いったい
今ごろどうしているのか、そればかりが心配で・・・」
「そうじゃのう わしもそのことが大変気になっている。
じゃが、わしの片腕に頼んだから、今ごろはきっと元気に暮らしていると思う。
統領としての修練や、戦士としての修行をきっちりやっていることじゃろう。」
「二人が ここにやってくるのをじっと待つ事にしよう。きっとやってくる!わしの子どもじゃ。
3年たったら必ずここに来るだろう。」
統領とその妻はこれからの長くてつらい毎日を互いになぐさめあいながら過ごしておりました。