ポンポコ島物語
その2 ポコのはなしの2

じいさまは、スタコラサッサと早足で歩き、ポポンコ山の頂上につきました。
そこには、この山に住むタヌキ全員が黙ったままで座っていました。
ポコがじいさまの後ろから歩いて行くと、みな頭を低くして挨拶をしました。
松の木の下に丁度手ごろの石があり、じいさまはそこにポコを座らせ、
おもむろに話し始めたのです。

「みなの者よう集まった。すでに知っておろうが、ポコ様が今宵3歳になられる。
これでポコ様も一人前のタヌキとして世を渡って行かねばならない。わしは
先ほど、ポコ様に今までのことをお話申し上げた。そしたら、あのポンコポ山へ
統領を助けにいかれるとのことじゃ。」

ここまで話した時、周りに集まっていたタヌキたちは一同に歓声をあげ、思い切り
それぞれのおなかをたたいたのです。
ポポポン、ポンポン。ポポンポン、いろいろの音が当りの山々にこだまして、それは
それはおおきな音になりました。

「ポコ様今宵はポコ様のお誕生日。みなして盛大にお祝いしましょうぞ。それ!
用意じゃ用意じゃ。」
それまでじっと座っていたタヌキ達は周りから、食べ物や飲み物を出してきました。
そうして宴会の準備をはじめました。

「ポコ様、皆の者に一言お話くだされ。」
じいさまはポコに言いました。ポコは立ちあがり皆を見回してから話し始めました。
「みんな、おいらはじいさまから、色んなことを今日聞いた。あまりのことで気持ちが
ふわふわしてるけど、・・・おやじさまとおふくろさまを ぜったいに助け出してくる。!」
「それに、おいらのためにお誕生会をしてくれてありがとう。」
「きっと ここに戻ってくるからね。」

「じいさま ありがとう。ここまでおいらを育ててくれて。
おいらが帰るまで絶対に待ってておくれよ。」
ここまで話した時、じいさまは大きな声で泣き出しました。

「じいさま。 う〜ん しょうがない みんな はじめよう!」
タヌキたちは食べ物をまわし、飲み物をまわし、宴会をはじめました。
そのうち酔いが回ってきたのか、腹鼓や踊りをはじめました。

ポコは、はじめ皆とわいわい騒いでいましたが、つと一人になってあたりを見渡しました。
ポポンコ山は小さな山です。その横にはポポコン山があり、その隣にはすこしてっぺんの
とがったコポポン山があります。北の方をみるとそこには誰もが一度はいってみたいと
思っているポンポコ山、そしてその隣には三角お山のコンポポ山がみえます。
はるか遠くにはポコポン山そしてポンポコ山の陰になってポポンコ山からはみえない
コポンポ山、それに!断崖で離れているポンコポ山とポコンポ山の二ツ山・・・
ポコは思いを新たにしました。

飲んで食べて騒いで・・みんなはいつしか眠ってしまったようです。ポコは意を決し
誰も起こさないようにして、旅立つ事にしました。
{ありがとう じいさま、みんな}ポコは心の中で言い、ポポンコ山を後にしました。

つづく