コンポポ山物語 2章キツネ族党首の妹(※ここをクリックで音声で聴くことができます


寒さにふるえ、真っ青だった顔色も、次第にもとに戻ってきたようです。
と、
ガバッと起き上がったキツネはあたりを見回し驚きの声を上げました。

「いったいここは?! なぜたぬきがいるの?!」
事の次第がよくわからないようです。

看護をしていた侍従の一人が頭領を呼びにいきました。


「おお!気がついたか。もう心配ない。心ゆくまでゆっくり養生するが良い。」

「あの・・・・私はどうしてここに?・・・・・」

「そなたの乗っていた筏がこの島に流れ着いたのじゃ。」

「どうして、そなた一人で筏なんかに乗って危ないではないか。
あの嵐の中を漕いできたのか?」

「助けていただき、ありがとうございました。」

「コンコン島を出るときは従者のものと数人で出ましたが、
あの嵐で船が転覆し、私は必死でしがみついていましたが、
途中で意識を失い、気がついたときはこうして・・・・・・・」


「そうであったか。・・・・・」
「でも、どうして島を抜け出したのじゃ?何かあったのか?」

「はい。コンコン島は長年平和な島でした。
ですが、突然人間共が島に上陸してきて我らの島の中で、
それはそれは縦横無尽の行いをするようになって、
ついには私どもを狩りの標的にする始末。
いよいよもって彼らとの戦いとなったのです。」

「私はキツネ族の党首の妹、コンコと申します。
応援を呼ぶべく密命を帯びて島を出ましたが、
あの嵐で全員が海の藻屑となり、私だけがこうして・・・・」

キツネ族の党首の妹のコンコは、大粒の涙を流し泣き出しました。


「そうであったか。・・・・・
それでは、応援の手立てはないのじゃな?」

「はい。・・・・今頃、島はどうなっているのやら・・・」

「人間どもは船できたと思うが、その船はどうなった?」

「多分、この嵐で、沖に流れ出したものと思います。」

「人間どもは大勢来たのか?」

「5・6名かと思われます。全てを確認できたわけではないので、何とも言えませんが・・・」

「そうか。
事情は相分かった。ではもう少し養生するが良い。」

「その方らももう少し見守ってやってくれ。頼んだぞ。」

侍従たちにそう言ってポコポは部屋を後にしました。


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