狸の童(わらし) 第2幕

◎効果・・ポンポコポン・・太鼓の音 第二幕の準備ができるまで 続く・・・・

◎効果・・・拍子木の音

◎幕はそのままで セリフのみで始まる

ポン太     じっさま じっさま 今日はたあんと 柴かれたな

じっさま   おお たあんと柴かれた

ポン太     じっさま じっさま 今日はたあんと 薪ひろったな

じっさま   おうおう たあんと 薪ひろった

ポン太     じっさま じっさま ばっさまのこしらえた おにぎり うまかったな

じっさま   おうおう うまかった うまかった

ポン太     じっさま じっさま おら キノコがいっぱいあるところ知ってるだ

        ポンポコ谷の近くだ  ばばさまに もってってやろかの

じっさま   遠いのけ?

ポン太     近道があるだ じっさま いこ!

◎          少 間

◎          

◎効果・・ガラガラガラ・・・・石の落ちる音

じっさま  ポン太 あぶねえ 気つけろ!  あっ! (より 大きな音)

ポン太     じっさま じっさまあ 大丈夫け? じっさま 足が・・・・

       おら 誰か呼んでくるで じっさま まっててけれ

第2幕の幕があく

◎舞台はとある山の中の小さな村、 中央やや上手よりに大きな木が立っており、

 その横にはお地蔵様がある

 遠くには山々が見え 真っ青な空に雲がポッカリ・・・・

 下手よりの やや奥で 百姓男と百姓女が畑仕事をしている。

ポン太    (後ろを気にしながら登場)じっさま だいじょうぶかの・・

       はよう誰かをつれて助けにいかないと・・・(畑の方を見て)

       あっ 誰かいる (男と女の方にむかって)お願いじゃあ!

       助けてくんろ じっさまが 足にケガをして歩けないんじゃ

       お願いじゃ 助けてくんろ!

百姓男  (働くのをやめて)なあんだって じっさまがケガしただ?

       (ポン太を見てやや!タヌキじゃタヌキ おいおい かかさま

         タヌキじゃぞ!

百姓女    ほんとじゃほんとじゃ タヌキじゃタヌキじゃ

百姓男    さては おら達をだまくらかすつもりじゃろう かかさまつかまえて

     タヌキじるでもしようかいの

百姓女    それがええ それがええ(二人は畑の方から出てくる)まてまて

      タヌキ!

◎ポン太はびっくりして逃げ出し お地蔵様の後ろにかくれる

百姓男女   まてえ!(と言いながらお地蔵様の近くまできてあたりを見る)

百姓男     どこさ 行った?

百姓女    (上手の方を指さして)あっちじゃろうて

百姓男     そんじゃ 行ってみよ(と言って上手に消える)

◎様子をうかがっていたポン太はそっと出てきて上手を見る

ポン太    ああ こわかった ・・・どうしよう 誰もおらの言うことを

       信じてくれん・・・(お地蔵様を見て)お地蔵様助けてくんろ

       おら・・おら・おらタヌキじゃけんど タヌキじゃねえ!

        こうなったら おらがじっさまを・・・(と言って下手に去る)

◎ 少 間

◎上手より ばっさまが心配そうに登場 お地蔵様の近くに来て

ばっさま   心配じゃのう。さっき村の衆がタヌキじゃタヌキじゃと騒いでおったが・・

      じっさまがなんとか 足がどうじゃと聞こえたが

        ・・・どうも心配じゃて (お地蔵様に向かって)お地蔵様、

        どうぞ じっさまとポン太が無事でありますように・・・・

◎そう言ってお地蔵様にお祈りをしていると 下手よりポン太がじっさまを背中に

おぶってヨタヨタと出てくる ばっさまはそれに気がついて驚いてポン太の側にくる

ばっさま   じっさま!どうしたじゃ? いっていポン太 どうしたじゃあ?

ポン太     あっ ばっさま じっさまが 足にケガしてあるけんのじゃ

        村の衆にたのんだども おらがタヌキじゃちゅうて 誰もおらの言うこと

      なんか信じてくれん しかたないから おら じっさまをおぶって

      ここまできたんじゃ・・・

     (と言ってじっさまをおぶったままその場にたおれこむ)

ばっさま   そうかそうか そったらことじゃったか ポン太ようここまで

         がんばったのう ポン太ありがとよ ありがとポン太

じっさま   こったら小せえ体で ほんとに助かった ありがとよ ポン太

ポン太  おら おら・・・くやしい おら タヌキじゃども タヌキじゃねえ!

ばっさま  ポン太 おめえは じっさまと ばっさまの童のポン太じゃ

じっさま  そうじゃ おめえはタヌキじゃねえ 誰がなんと言おうとじっさまと

     ばっさまの童のポン太じゃ

ポン太   じっさま! ばっさま!

◎そこへさっきの百姓男と百姓女があらわれる(村人たちも)

百姓男    じっさま ばっさま かんにんな タヌキがてっきりおら達を

         だまくらかすと思うてな

百姓女    ポン太 かんにんな もう童のことをタヌキなあんて言わねえからな

百姓男     さあさ じっさま おらの背中におぶされ 家帰るだ

◎そう言って じっさまを背中にせおい 皆して 上手へ退場

◎ポン太は走って戻り お地蔵様に手をあわせ

ポン太    お地蔵様ありがとう(そう言って走り去る)

◎舞台次第に暗くなる

<第 三 景>

◎舞台中央に じっさまとばっさまの家の障子 あたりは真っ暗

障子に映る ポン太と じっさま ばっさまの影のみ

じっさま ポン太 ポン太 じっさまへこい

ばっさま ポン太 ポン太 ばっさまへこい

ポン太   うん! じっさま うん!ばっさま

◎この やりとりが 障子に影となってうつる・・・・・

語り部    こうして タヌキのわらしの ポン太は いつまでもいつまでも

         じっさまと ばっさまのところで 楽しく暮らしましたとさ

◎効果・・拍子木の音

◎幕しまる

                おわり

                          くりっくで ぽんぽこじまに もどります